ホッキョクウサギ日誌

なかにしけふこのブログ。宗教学と詩歌文藝評論と音楽と舞台と展示の話など。

Anglo-Saxon Kingdoms展(British Library, 2018年10月28日)

学園祭休みとreading weekを縫って倫敦に文献調査で10日ほど滞在しておりました。文化史展示のなかの宗教展示の意義に注目して展覧会を見ています。大英図書館でAnglo-Saxon Kingdom展を見ました。 www.bl.ukゆっくり見ると4時間かかります。大英図書館中世…

山崎佳代子『パンと野いちご』(勁草書房)刊行記念トークショー(2018年8月7日・セルビア大使館)

山崎佳代子さんの『パンと野いちご』(勁草書房)刊行記念トークショーに行ってきました。旧ユーゴスラヴィア解体とボスニア紛争下での食をめぐる経験を、コソヴォでの難民支援文藝プロジェクトに参加した難民キャンプの女性たちや、周囲の方々から山崎さん…

現代詩手帖2018年10月号「小特集・『月吠』番外編」に寄稿しました。

現代詩手帖2018年10月号「小特集・『月吠』番外編」に「箱庭を祓う」を寄稿しました。箱庭のような「近代市□街」の世界構造、なんらかの怨霊のようなものであろう「縊死体」に宿ったものと鎮魂のテーマ、リスペクタブルな詩と(作中世界では「神」とされてい…

国際ワークショップ「精神医療の「過去」と「現在」を展示する」(9/17・慶應義塾大学日吉キャンパス)

国際ワークショップ「精神医療の「過去」と「現在」を展示する」(9月17日・慶應義塾大学日吉キャンパス)に行きました。 igakushitosyakai.jp 英国の精神医療博物館の展示、私宅監置制度の検証の展示、日本のアール・ブリュット支援の話題です。精神医療の…

現代詩手帖2018年10月号予告(1)

現代詩手帖10月号の告知が出ています。『月に吠えらんねえ』特集(『月吠』番外編)でひらがななまえで作品への愛を唄っているのでぜひ買って読んでください。今回は作中世界の怨霊と詩人の理想像とそれぞれの詩人たちのかかわりについてわりとゆるめに書き…

現代詩手帖2018年6月号『月に吠えらんねえ』特集に寄稿しました(2) なかにし担当分への追い書き

おかげさまで現代詩手帖『月に吠えらんねえ』特集がよく売れているようです。ありがとうございます。中学生のときからの詩手帖読者ですが、こんなにフィーバーしている詩手帖をリアルタイムで見るのは初めてです。さて、人物解説なかにし担当分の追い書きで…

現代詩手帖2018年6月号「『月に吠えらんねえ』の世界」に寄稿しました

現代詩手帖6月号『月に吠えらんねえ』特集に寄稿しました。清家雪子さん作のまんが『月に吠えらんねえ』の主題は日本近代詩歌と戦争。1945年8月15日から後の時空に行けない「近代市□街」に閉じ込められた詩人たちの物語です。各作家の人となりと作品世界・教…

『うたえ!エーリンナ』をよみました

佐藤二葉さんから『うたえ!エーリンナ』をご恵投いただきました。ありがとうございます。 佐藤二葉さんは総合ギリシア劇を手がける21世紀のバッケー的存在です。星海社のまんがウェブマガジン「ツイ4」に連載された4コマまんが連作の書籍化です。ツイ4のサ…

ユリイカ2018年5月号『特集 アーシュラ・K・ル=グウィンの世界』に寄稿しました。

ユリイカ2018年5月号『特集 アーシュラ・K・ル=グウィンの世界』に論考「アーシュラ・K・ル=グウィンと文藝共和国の夢 「西のはての年代記」三部作と『ラウィーニア』の場合」を寄稿しました。若い頃ルネサンス学者をめざしたこともあったル=グウィンは最…

「精神医療と音楽の歴史」レポート(2017.9.16)

古楽の話ではこちらもどうぞ。昨年9月16日に松沢病院で開催された公開講演会(レクチャーコンサート)「精神医療と音楽の歴史」のレポートを「医学史と社会の対話」研究プロジェクトのウェブサイトに寄稿しました。光平有希さんによる講演「精神医療と音楽 …

小澤高志さん追悼・ルネサンス大舞踏会に行ってきました(4.15)

こちらではたいへんごぶさたしておりました。そろそろこちらでも有機的にツイッターとフェイスブックとの連動運用を心がけてみたいと思いまして、戻って参りました。およそ一年ぶりとなりました。みなさまのご期待に応えてホッキョクウサギ日誌を再開します…

マーティン・スコセッシ《沈黙》を見に行きました

もう一ヶ月以上前のことになりますが、マーティン・スコセッシ《沈黙》を見に行きました。遠藤周作の原作に対する深い理解と、モデルとなったジュゼッペ・キアラ神父(作中ではロドリゴ神父)とクリストヴァン・フェレイラ神父の棄教と日本での余生をめぐる…

岡野弘彦『折口信夫の晩年』を読みました

たいへんごぶさたしておりました。みなさま新年度いかがおすごしでいらっしゃいますでしょうか。こちらには随時折口信夫とその周辺関係のゆるやかな読書日記をUPするコーナーを設けました。「折口信夫とその周辺」タグです。そこで本日のエントリです。 ◇岡…

からだのシューレ・naoさん講演会に行ってきました(12/3・東京ウィメンズプラザ・加筆しました)

からだのシューレvol. 5 プラスサイズモデルnaoさん講演会に行ってきました。 公式告知はこちら。 【12/3・東京】からだのシューレvol.5 特別講演会「あなたのカラダは誰のもの?」 | eat 119 「からだのシューレ」は文化人類学者・磯野真穂さん司会、EAT119…

最近書いた詩歌・文藝評論関係の文章について

最近書いた詩歌・評論関係の文章についてお知らせします。『現代詩手帖』2016年9月号・特集「古典詩への誘い」に「叙景と引証とわたし、ある古代末期文学紹介の試み」を寄稿しました。古代末期地中海世界のギリシア語文学・ラテン語文学の抒情と叙景と「私が…

「スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチとの対話」に行ってきました(2016年11月25日・東大本郷、なかにしけふこのツイッター(@mmktn)より聴講メモを再録)

「スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチとの対話」に行ってきました。(主催:東京大学大学院人文社会系研究科現代文芸論研究室、後援:日本ペンクラブ、協力:岩波書店・沼野科研)公式告知はこちら。 20161125 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチとの対話 …

単著『ユリアヌスの信仰世界』を上梓しました

このたび、単著『ユリアヌスの信仰世界 万華鏡のなかの哲人皇帝』を慶應義塾大学出版会から上梓いたしました。博士学位請求論文に大幅に加筆改訂して単著に仕上げました。密林堂でも取り扱いあります。こちらです。日本ではイプセンやメレジコーフスキイや辻…

【登壇します】シンポジウム 「宗教」をものがたる-宗教/文学研究のいま-

「宗教・イメージ・想像力」研究会、第2回の企画として以下のシンポジウムを行います。私もコメンテーターとして登壇します。ショートノーティスで恐縮ですが、ご関心おありのかたぜひお運び下さい。(近藤光博さんのnoteより情報を転載します) ========== …

塚本邦雄展に行ってきました(北上・日本現代詩歌文学館、2016.3.19-6.5)

北上の日本現代詩歌文学館へ塚本邦雄展を見に行きました。没後10年回顧展です。 塚本邦雄旧蔵書・旧蔵音源映像資料と本人直筆原稿・書簡ほか関連資料は死後散逸の危機を免れました。日本現代詩歌文学館に所蔵されているもののほか、ご子息の塚本靑史氏が保管…

リマインダー:「古代ギリシャ・時空を超えた旅」展

みなさんこんにちは(こんばんは)。6月、東京国立博物館平成館に「古代ギリシャ 時空を超えた旅」展が来ます。(主催:東博、ギリシャ共和国文化・スポーツ省、NHK・NHKプロモーション、朝日新聞社、企画協力:東映、後援: 駐日ギリシャ大使館、協賛:日本…

リマインダー:「世界遺産 ポンペイの壁画展」

みなさんこんにちは(こんばんは)。ポンペイの壁画展のリマインダーをどうぞ。東京、名古屋、兵庫、山口、福岡と巡回します。「日伊国交樹立150周年記念 世界遺産 ポンペイの壁画展」巡回情報はこちらを拝見しました。2016年4月29日(金・祝)-7月3日(日…

震災後文学:いとうせいこう『想像ラジオ』(河出書房新社、2013)

津田塾でご一緒している木村朗子先生のお誘いで、3月19日に物語研究会のミニシンポジウム「災厄と物語」で登壇します。私は宗教学徒で西洋古典学と詩歌の実作にも関わる者の立場から「橋を架ける学問と詩」について提題しますが、いまさらながら「震災後文学…

ブリテン島メシまずワールドサバイバル法:途方に暮れているあなたへ

えっ、なんだって。SNSでブリテン島の食事がまずい、と嘆いたら同胞から「お前の舌がわるい」「選んだ店が悪い」と嘲笑されたって。ああ、薄情だねえ。それはひどい話だ。誰もが手頃なお値段で食べられるおいしい食事への道を調べ尽くして上陸するわけではな…

大英博物館動画「ポンペイのパンのつくりかた」

おいしいと評判の古代ローマ料理。試食イベントやレシピ本の翻訳も増えました。ここで大英博物館提供のパン作り動画をご紹介します。ジョルジョ・ロカテッリ氏による「復元レシピによるポンペイのパンの作り方」解説 youtu.be2013年に開催された展覧会「ポン…

筆記用具の話

文献を読むときのメモは鉛筆(Bか2B)、ノート+構想を書くときはMarvyのドローイング用ミリペン(0.1mmと0.3mm、黒とセピア)、ときどき気分を変えるためにステッドラー・トリプラスファインライナー(モーヴ、スモーキーブルーなど)。発色良く筆先細くかりっと…

研究メモ作成事情

たいへんごぶさたしておりました。春節も明けました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。ツイッターに放流した研究メモ事情の話を採録します。タイムラインの皆様と情報交換ができて嬉しかったです。世界のどこかには完璧な情報管理術を日々営々と行っ…

告知拾遺:ボッティチェリ展にアウグスティヌスとヒエロニムスも上陸、本づくり学校会員募集、「ウサギノネドコの世界」

告知拾遺です。ボッティチェリ展(東京都美術館・2016.1.16ー4.3) 日伊国交樹立150周年記念 ボッティチェリ展(東京都美術館・2016.1.16ー4.3)が開催されます。 ウェブサイトはこちら。 botticelli.jp ツイッターアカウントもあります。(@Botticelli2016) 古…

震災後文学対談:日本近代文学館「声のライブラリー」伊藤比呂美・新井高子・若松英輔回(9月12日)

日本近代文学館の「声のライブラリー」を見に行きました。http://www.bungakukan.or.jp/cat-lecture/cat-voices/2250/ お題は震災後の詩について。天変地異の後に書かれうる機会詩について考える回でもありました。伊藤比呂美さん司会、若松英輔さんと新井高…

いかにして彼女は洗脳から生還したか-「しくじり先生スペシャル」辺見マリ回

宗教学の同僚のあいだで話題になっていた「しくじり先生スペシャル」辺見マリ回をみました。(2015年9月14日放送、テレビ朝日系列)「拝み屋」のマインドコントロールからの脱出と社会復帰までのエピソードです。番組公式ウェブサイトの案内はこちら。 www.t…

辻邦生『西行花伝』展(学習院大学史料館)を見に行きました。

もう一ヶ月ほど前になりますが、学習院大学史料館の「辻邦生 西行花伝」展を見に行きました。備忘録としてUPしておきます。 学習院大学史料館www.gakushuin.ac.jp晩年の大作『西行花伝』の成立に至る辻邦生と西行のかかわりに着眼した、凝縮されて美しい展示…