ホッキョクウサギ日誌

なかにしけふこのブログ。宗教学と詩歌文藝評論と音楽と舞台と展示の話など。

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》(2020年1月4日ソワレ、赤坂ACTシアター)その弐 薫習の物語、そして龍馬さんと武市先生

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》東京凱旋公演千穐楽おめでとうございます。あの果てしないように思われたタフな公演日程を無事に走り終えられたこと、ただただ感嘆と畏敬をもって見つめております。大千穐楽はライヴビューイングで拝見します。どうぞ最…

EPOCH MAN 《鶴かもしれない2020》(2020年1月12日、駅前劇場) 現代の民話が立ち上がる場所

小沢道成さん作・演出・主演の一人芝居です。2014年初演作品の再再演とのこと。 鏡面仕上げの床のほのぐらい舞台と一面の大小の暗い鏡張りふうの額からなる壁に囲まれた部屋で、3台のラジカセとの「対話」とともにまっすぐに破局へむかってすすんでゆく、恋…

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》(赤坂ACTホール、1月4日ソワレ) その壱 覚書:音楽と音楽的なるもの、朧なるもの

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》。1月4日ソワレに行ってきました。 寝かせておくと東京凱旋公演が終わってしまうし、なんと冬休みがもう終わってしまった。昼は宗教学/キリスト教学のせんせいです。締め切りを斬らねばならぬ。なので書いてしまおう。以…

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》関連記事まとめ

このたびは《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》への12月21日ソワレ分の劇評をお読みくださりありがとうございます。ブラウザゲーム未修、刀剣乱舞シリーズ初見の者が「神農直隆氏演じる武市瑞山(武市半平太)が見たい」という動機で東京凱旋公演を見に行き…

ダルカラマクベス(2019年12月22日、KAAT、マチネ) 思想なき恐怖政治と赤いゾンビ

記憶が蒸発しないうちにダルカラマクベスの話をします。ダルカラマクベスとは、才人・谷憲一氏率いる劇団DULL-COLORED POPによる《マクベス》公演のことです。 身に余る栄光を受け止めきれない気弱さがいつか嘘で嘘を塗り固める虚栄にかわるマクベスの墜落を…

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》(2019年12月21日、赤坂ACTシアター、ソワレ)その五 武市先生のおそるべき沈黙

武市先生のおそるべき沈黙 超然ととおい雪嶺のように美しい。 武市先生のお話をいたします。彼が作中世界で担う沈黙と語られざる部分の大きさがむしろおそろしいようです。 《維伝》の歴史人物の造型は、司馬遼太郎作品・NHK大河ドラマ《龍馬伝》・まんが『…

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》(2019年12月21日、赤坂ACTシアター、ソワレ)その四 以蔵さんと肥前くんと南海先生とゴシックカルチャー

その参のつづきです。あけましておめでとうございます。ようこそ2020年代。よい時代にいたしましょう。2019年の観劇納めは《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》とダルカラマクベスでした。2020年の観劇始めは《維伝》大千穐楽ライヴビューイングになりそうで…