ホッキョクウサギ日誌

なかにしけふこのブログ。宗教学と詩歌文藝評論と音楽と舞台と展示の話など。

単著『ユリアヌスの信仰世界』を上梓しました

このたび、単著『ユリアヌスの信仰世界 万華鏡のなかの哲人皇帝』を慶應義塾大学出版会から上梓いたしました。
博士学位請求論文に大幅に加筆改訂して単著に仕上げました。

密林堂でも取り扱いあります。こちらです。

日本ではイプセンやメレジコーフスキイや辻邦生の戯曲・小説で知られてきたローマ皇帝、「背教者」ユリアヌスが見た同時代の宗教と父祖たちの祭祀の伝統とははたしてなんであったのか。彼が求めた威厳ある清潔な宗教の実相とはなんであったのか。ユリアヌスの読書経験とイアンブリコス派新プラトン主義の関わりを参照しつつこの問題に取り組んで、見通しを提供した著作です。
日本人研究者によるユリアヌスの知的伝記としてははじめての試みです。

自分で言うのも何ですが、「知の歴史」と宗教史学を架橋しつつも叙述の魅力ある歴史書になったと思います。あとがきから読む派のみなさんにもお楽しみいただけるかと思います。
上梓にあたっては平成28年度科学研究費助成事業研究公開促進費(学術図書)の助成をいただきました。
改めて感謝申し上げます。

慶應義塾大学出版会ウェブサイトの紹介頁はこちらです。
目次と梗概がみられます。
http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766423822/

慶應義塾大学出版会ウェブサイトに自著紹介エセーも掲載されました。
リンクはこちらです。
http://www.keio-up.co.jp/kup/gift/julianus.html

耳塚有里さんによる装幀は大理石やトラヴァーティンの輝きの面影も伝えて素敵です。
かっこいい本にしあげてくださってただただ感謝です。

いま慶應義塾大学出版会のウェブサイトのトップページでは、『ユリアヌスの信仰世界』は東大宗教学研究室同窓の渡辺優さんの著書『ジャン・ジョゼフ・スュラン』とともに「おすすめ本」コーナーで紹介されております。「生きられた経験」としての宗教現象を対象化しつつ実証的な研究を行う東大宗教学研究室西洋宗教史部門の学風とその出身者の著作をこのようにしてひきたててくださり、ほんとうにありがたいことです。

7500円+税と、学食の麺類およそ1ヶ月分のおねだんいたしますが、みなさまどうぞよろしくお願い申し上げます。