最近の執筆・登壇などのお知らせです。※中西恭子名義勝又悦子・柴田大輔・志田雅宏・髙井啓介編『一神教世界のなかのユダヤ教 市川裕先生献呈論文集』(リトン・2020)に、「アウグスティヌス『神の国』における「地上の国の宗教」」を寄稿しました。日本で…
お蔵出し文章です。佐藤二葉さんの『うたえ!エーリンナ』に念者念弟システムになじめなかった古代ギリシア人の男子がでてきたことを皆さん覚えていらっしゃるでしょうか。20世紀の日本に残存していた念者念弟システムになじめなかった方のお話をいたしまし…
このところ新しい企画を進めておりましてごぶさたしておりました。そろそろ『刀剣乱舞』シリーズのまとめをしておきましょう。おかげさまで出講先で「せんせいとうらぶのファンなんですか?」との質問もいただいております。「箱推し、特に舞台版を推します…
《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》東京凱旋公演千穐楽おめでとうございます。あの果てしないように思われたタフな公演日程を無事に走り終えられたこと、ただただ感嘆と畏敬をもって見つめております。大千穐楽はライヴビューイングで拝見します。どうぞ最…
小沢道成さん作・演出・主演の一人芝居です。2014年初演作品の再再演とのこと。 鏡面仕上げの床のほのぐらい舞台と一面の大小の暗い鏡張りふうの額からなる壁に囲まれた部屋で、3台のラジカセとの「対話」とともにまっすぐに破局へむかってすすんでゆく、恋…
《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》。1月4日ソワレに行ってきました。 寝かせておくと東京凱旋公演が終わってしまうし、なんと冬休みがもう終わってしまった。昼は宗教学/キリスト教学のせんせいです。締め切りを斬らねばならぬ。なので書いてしまおう。以…
このたびは《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》への12月21日ソワレ分の劇評をお読みくださりありがとうございます。ブラウザゲーム未修、刀剣乱舞シリーズ初見の者が「神農直隆氏演じる武市瑞山(武市半平太)が見たい」という動機で東京凱旋公演を見に行き…
記憶が蒸発しないうちにダルカラマクベスの話をします。ダルカラマクベスとは、才人・谷憲一氏率いる劇団DULL-COLORED POPによる《マクベス》公演のことです。 身に余る栄光を受け止めきれない気弱さがいつか嘘で嘘を塗り固める虚栄にかわるマクベスの墜落を…
武市先生のおそるべき沈黙 超然ととおい雪嶺のように美しい。 武市先生のお話をいたします。彼が作中世界で担う沈黙と語られざる部分の大きさがむしろおそろしいようです。 《維伝》の歴史人物の造型は、司馬遼太郎作品・NHK大河ドラマ《龍馬伝》・まんが『…
その参のつづきです。あけましておめでとうございます。ようこそ2020年代。よい時代にいたしましょう。2019年の観劇納めは《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》とダルカラマクベスでした。2020年の観劇始めは《維伝》大千穐楽ライヴビューイングになりそうで…
その弐からのつづきです。 刀剣男士諸君の剣格の話をしましょう。 人々に親しまれる神話伝説の登場人物がそうであるように、基本設定と寓意性がソリッドでキャラクターの余白と行間が広くて深い世界設定と拝察します。着想源へのリスペクトあってこその物語…
《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》をブラウザゲーム版未修、『刀剣乱舞』シリーズの舞台初見でみた感想と考察です。歴史学の訓練を受けた経験のある宗教学徒としては、もろもろ応答責任のある舞台であるような気がしています。 以下、おぼえがき的に。(そ…
《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》東京凱旋公演を見ました。ブラウザゲーム未修で『刀剣乱舞』シリーズの舞台は初見です。ブラウザゲーム『刀剣乱舞』というハイコンテクストな主題を着想源とする商業演劇シリーズに、パブリック・ヒストリー主題の多重宇…
12月1日、上智大学四谷キャンパスで開催されるイメージ&ジェンダー研究会のシンポジウム「子どもの本のいま―感動物語・貧困・家族」にコメンテーターとして登壇します。 社会参加型フェミニズムと文学関連の集いにお呼びくださり光栄です。コメンテーターで…
市川科研シンポジウム「Lived Ancient Religion 生きられた古代宗教」のお知らせです。2019年9月21日(土)–9月22日(日)の2日間開催。会場は東京大学本郷キャンパス法文1号館113番教室です。エルフルト大学からイェルク・リュプケ教授(宗教学宗教史学)を…
夏に見たもの その2 《骨と十字架》(野木萌葱脚本、小川絵梨子演出、新国立劇場小劇場、2019年7月12日、26日) 古生物学者で神秘家のイエズス会士、ピエール・テイヤール・ド・シャルダンの壮年期に取材した作品。《オレステイア》を見て釈然としなかったの…
夏に見たもの その1 ロバート・アイク《オレステイア》 (上村聡史演出、平川大輔訳、アイスキュロス原作、新国立劇場中劇場、2019年6月25日) 乖離と記憶喪失と裁きの物語である。神託に従って宿命を甘受する生き方を放棄した現代社会においては、精神医療…
こちらではたいへんごぶさたしておりました。台中の國立台灣美術館の「共時的星叢」展を見ました。映画《日曜日の散歩者》と関連する1920年代から1950年代始めまでの台湾の前衛芸術と日本語作家の軌跡を描く、素敵な展示でした。 constellation.ntmofa.gov.tw…
12月15日、カウンターテナー研究会第8回例会でレクチャーの機会をいただきました。「『古代末期』の教会で『歌った』のは誰か?」というテーマで、先行研究とローマ帝国におけるキリスト教の公認以前からポスト・ローマ期にかけての事例を紹介しつつ、初期キ…
ヒロ・ヒライ監修『ルネサンス・バロックのブックガイド』(工作舎)がいよいよ2019年2月頃に刊行されることになりました。私もレイノルズ『古典の継承者たち』とヘニンガー『天球の音楽』の2項目を寄稿しています。いまもっとも勢いのある「インテレクチュ…
2019年5月23日から8月26日まで、大英博物館で「MANGA」展が開催されるそうです。 www.britishmuseum.orgMANGAのグラフィックワールドを主題に日本国外で開催される展示としては最大級とのことで、企画展特設ページのイラストレーションに《ゴールデンカムイ…
ざびえる pic.twitter.com/txYJZRi83T — Kyoko Nakanishi (@mmktn) December 4, 2018 ドン・フランシスコ pic.twitter.com/QrXyL42jBx — Kyoko Nakanishi (@mmktn) December 4, 2018 大分土産のきりしたん名辞銘菓・ざびえる(ざびえる本舗)とドン・フラン…
民博の「アーミッシュ・キルトを訪ねて」展を見ました。(当日の写真付きツイートツリーはこちらから開けてご覧下さい)https://twit 民博アーミッシュキルト展。充実した展示です。パネルとリーフレットの解説も親切。厳格な再洗礼派の質実で清潔感あるマテ…
詩人・入沢康夫さんが逝去されたことを田野倉康一さんのフェイスブック投稿から知りました。その後、報道各社のお悔やみ記事を見て、10月15日に逝去されていたことを知りました。 入沢康夫さん死去 詩人・宮沢賢治研究:朝日新聞デジタル そういえば入沢さん…
オクスフォード大学アシュモリアン博物館のSpellbound展を見に行きました。 www.ashmolean.org トレイラーはこちら。 youtu.be第4層(3rd floor)の企画展フロアをいっぱいに使ったコンパクトな展示ですが、じっくり見ると2時間半はかかります。エントランス…
津田塾大学多文化・国際協力学科設立記念対談 関口凉子×港千尋「味覚と視覚のポスト3.11-フランス語圏をフィールドにして」を木村朗子先生のお誘いで聴講しました。木村先生による一連の「震災後文学論」の実践者のことばのアーカイヴ化の試みでもあります…
前橋文学館「この二人はあやしい」展と萩原朔美・清家雪子トークイベントに行った話の後編です。鼎談の詳細はいずれどこかの活字媒体に出ると予想されますので、こちらでは話題別にまとめました(聞き落としもあるかと思いますが、どうぞご容赦ください)。…
前橋文学館「この二人はあやしい」展と『月に吠えらんねえ』トークイベントを見ました。 みごとなキュレーションと配慮の行き届いた進行と運営、素晴らしかったです。トークイベントは申込制先着100名。申込開始日当日、私は文献調査でロンドンに着いたばか…
以前、短期文献調査時に倫敦でおいしいものをなるべく安く食べるお話を書きました。一ポンド270円だったころはそれはそれはみじめな思いをしたものでした。あれから10年、一ポンド150円前後になったのはほんとうにありがたい(ただし、ヒースロー空港の両替…
これからの博物館・美術館の宗教展示の可能性に注目しています。ここで過去記事を再録しましょう。British Museum(大英博物館)の宗教とマテリアルカルチャー展「神々とともに生きる」(Living with Gods: people, places, and the worlds beyond, 2017年11…