ホッキョクウサギ日誌

なかにしけふこのブログ。宗教学と詩歌文藝評論と音楽と舞台と展示の話など。

宗教学

エドワード・J・ワッツ『ヒュパティア 後期ローマ帝国の女性知識人』(中西恭子訳、白水社、2021年)重版出来・書評掲載・ブックローンチイヴェントのお知らせ(2021年12月30日追記あり)

みなさまごきげんよう、なかにしけふこです。おかげさまでエドワード・J・ワッツ『ヒュパティア 後期ローマ帝国の女性知識人』(中西恭子訳、白水社、2021年)ご好評いただいております。 www.hakusuisha.co.jpさて、みなさまにお知らせがあります。 【重版…

『ヒュパティア 後期ローマ帝国の女性知識人』 潜在的読者のみなさまからいただいたご質問

みなさまごきげんよう、なかにしけふこです。おかげさまでエドワード・J・ワッツ『ヒュパティア 後期ローマ帝国の女性知識人』(中西恭子訳、白水社、2021年)がたいへんよく売れているようで、嬉しい驚きのただなかにいる翻訳者です。結果がはっきりと数字…

翻訳書を上梓します(エドワード・J・ワッツ、中西恭子訳『ヒュパティア 後期ローマ帝国の女性知識人』(白水社、2021年))

このたび白水社から翻訳書を上梓いたします エドワード・J・ワッツ『ヒュパティア 後期ローマ帝国の女性知識人』 中西恭子訳、白水社、2021年 著者、エドワード・J・ワッツ氏はカリフォルニア大学サンタバーバラ校教授、現在最も精力的に活動する古代末期地…

『ユリイカ』2021年1月号「ぬいぐるみの世界」 「霊獣とあたらしいカミと暮らす」出演者追い書き

みなさまごきげんよう。なかにしけふこです。『ユリイカ』ぬいぐるみ特集、いよいよ12月26日発売です。 www.seidosha.co.jp 諸君ご機嫌よう、うさぎ軍団とけふこ殿の本丸のへし切長谷部(極)だ。『ユリイカ』「ぬいぐるみの世界」でけふこ殿が我々のことを書…

『ユリイカ 』2021年1月号「ぬいぐるみの世界」に寄稿しています

ユリイカ 2021年1月号「ぬいぐるみの世界」に「霊獣とあたらしいカミと暮らす 同伴者としての似姿とぬいぐるみ」を寄稿しています。 青土社 ||ユリイカ:ユリイカ2021年1月号 特集=ぬいぐるみの世界 拙宅のWWFコラボレーションホッキョクウサギぬいぐるみ集…

登壇・掲載情報(2020年11月–12月、『ユリイカ』偽書特集・ぬいぐるみ特集、弥生神社教養講座)

✴青土社の雑誌『ユリイカ』2020年11月号「偽書の世界」に論攷「修辞と予型、ほんとうの物語 古代末期地中海世界における偽書的思考」を寄稿しています。捏造されてゆく「敬虔帝」たちの姿や、予型論的思考のなかに信仰の正統性を求める人々について書いてい…

弥生神社講座「近代的学知とキリスト教」のお知らせ

新型コロナウイルス防疫対策で延期になりました海老名・弥生神社教養講座シリーズ「キリスト教の精神世界」が再開されます。私も10月31日土曜日14時から登壇します。 第1回は 「キリスト教と近代的学知 ―救済をめぐる問題―」 。会場での聴講2000円、配信での…

DULL-COLORED POP『アンチフィクション』(シアター風姿花伝、7月25日マチネ、配信=7月26日マチネ)

ダルカラことDULL-COLORED POP『アンチフィクション』(谷賢一脚本・演出・主演)を見ました。主宰の谷賢一さんの一人芝居です。コロナウイルス防疫対策のための謹慎中断後はじめての観劇でした。防疫対策もばっちりでした。現代思想の別役実特集に書くにあ…

劇団チョコレートケーキ『無畏』(2020年8月8日マチネ、下北沢・駅前劇場)

劇団チョコレートケーキ『無畏』をみました。古川健台本・日澤雄介演出。大正天皇の生涯を描いた『治天ノ君』でも知られる史劇の名手タッグです。お二人の台本・演出で上演されるはずだった鈴木拡樹主演『アルキメデスの大戦』舞台版公演がコロナウイルス感…

さにわライフ一ヶ月の所感

さにわ、といってもシャーマニズム系の宗教をはじめたわけではありません。とうとう『刀剣乱舞』ゲーム版をはじめてしまいました。「62振一挙贈呈キャンペーンがきますよ、けふこさんの本丸にもかならずへし切長谷部さんが来ますよ」と背中を推されたしだい…

2020年4月の寄稿、4/25弥生神社連続講義延期のお知らせ

2020年4月の寄稿と登壇延期のお知らせです。オリエンス宗教研究所の雑誌『福音宣教』5月号に、短期連載「よみがえるテイヤール・ド・シャルダン」後編その1が出ました。今回は1910年代から20年代のテイヤールの著作に登場する信仰のリアリティと典礼をめぐる…

3/29→4/25海老名・弥生神社講座開講延期につきまして

海老名・弥生神社さまからお招きいただき、講座「キリスト教の精神世界」を開講いたします。資料代2000円(学生1000円) 、お茶菓子付きです。当初、3月29日日曜日開講を予定しておりましたところ、3月25日の小池百合子東京都知事記者会見で、東京都民への3月…

雑誌『福音宣教』4月号に『骨と十字架』対談が掲載されました(2020年3月)

オリエンス宗教研究所刊の雑誌『福音宣教』での短期連載シリーズ「よみがえるテイヤール・ド・シャルダン」の続報です。 www.oriens.or.jp 『福音宣教』4月号には、昨年7月に新国立劇場小劇場で上演された『骨と十字架』(作・野木萌葱、演出・小川絵梨子)…

『魔法使いの嫁』を読むの記

ヤマザキコレ『魔法使いの嫁』既刊分13巻(ブレイドコミックス、マッグガーデン、2013–2020年)を一気読みしました。面白かった。 シェイクスピア『真夏の夜の夢』からゴシック・ロマンスと「ケルトの薄明」を経由して近現代ハイ・ファンタジーに至る妖精物…

びわ湖リング配信を見るの記(ヴァーグナー《神々の黄昏》、沼尻竜典指揮、ミヒャエル・ハンペ演出、京都市交響楽団、2020年3月7日・8日、びわ湖ホール無観客上演配信)

びわ湖ホールの《ニーベルングの指輪》ツィクルス最終年の《神々の黄昏》無観客上演配信を見ました。政府の劇場・学校・社会教育施設閉鎖要請で全国の劇場・コンサートホールが続々と公演をとりやめるなかでの大英断です。さすが、故・若杉弘前音楽監督の時…

最近の執筆・登壇など(2020年2月)

最近の執筆・登壇などのお知らせです。※中西恭子名義勝又悦子・柴田大輔・志田雅宏・髙井啓介編『一神教世界のなかのユダヤ教 市川裕先生献呈論文集』(リトン・2020)に、「アウグスティヌス『神の国』における「地上の国の宗教」」を寄稿しました。日本で…

近代人カトーくんと念者念弟システム:加藤守雄『わが師折口信夫』(1967)

お蔵出し文章です。佐藤二葉さんの『うたえ!エーリンナ』に念者念弟システムになじめなかった古代ギリシア人の男子がでてきたことを皆さん覚えていらっしゃるでしょうか。20世紀の日本に残存していた念者念弟システムになじめなかった方のお話をいたしまし…

『刀剣乱舞』シリーズのライヴビューイングを見るなど(『維伝 朧の志士たち』大千穐楽(福岡サンパレスホール、2020年1月18日/新宿バルト9)、『歌合 乱舞狂乱』大千穐楽(武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ、2020年1月24日/DMM配信)

このところ新しい企画を進めておりましてごぶさたしておりました。そろそろ『刀剣乱舞』シリーズのまとめをしておきましょう。おかげさまで出講先で「せんせいとうらぶのファンなんですか?」との質問もいただいております。「箱推し、特に舞台版を推します…

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》(2020年1月4日ソワレ、赤坂ACTシアター)その弐 薫習の物語、そして龍馬さんと武市先生

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》東京凱旋公演千穐楽おめでとうございます。あの果てしないように思われたタフな公演日程を無事に走り終えられたこと、ただただ感嘆と畏敬をもって見つめております。大千穐楽はライヴビューイングで拝見します。どうぞ最…

EPOCH MAN 《鶴かもしれない2020》(2020年1月12日、駅前劇場) 現代の民話が立ち上がる場所

小沢道成さん作・演出・主演の一人芝居です。2014年初演作品の再再演とのこと。 鏡面仕上げの床のほのぐらい舞台と一面の大小の暗い鏡張りふうの額からなる壁に囲まれた部屋で、3台のラジカセとの「対話」とともにまっすぐに破局へむかってすすんでゆく、恋…

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》(赤坂ACTホール、1月4日ソワレ) その壱 覚書:音楽と音楽的なるもの、朧なるもの

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》。1月4日ソワレに行ってきました。 寝かせておくと東京凱旋公演が終わってしまうし、なんと冬休みがもう終わってしまった。昼は宗教学/キリスト教学のせんせいです。締め切りを斬らねばならぬ。なので書いてしまおう。以…

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》関連記事まとめ

このたびは《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》への12月21日ソワレ分の劇評をお読みくださりありがとうございます。ブラウザゲーム未修、刀剣乱舞シリーズ初見の者が「神農直隆氏演じる武市瑞山(武市半平太)が見たい」という動機で東京凱旋公演を見に行き…

ダルカラマクベス(2019年12月22日、KAAT、マチネ) 思想なき恐怖政治と赤いゾンビ

記憶が蒸発しないうちにダルカラマクベスの話をします。ダルカラマクベスとは、才人・谷憲一氏率いる劇団DULL-COLORED POPによる《マクベス》公演のことです。 身に余る栄光を受け止めきれない気弱さがいつか嘘で嘘を塗り固める虚栄にかわるマクベスの墜落を…

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》(2019年12月21日、赤坂ACTシアター、ソワレ)その五 武市先生のおそるべき沈黙

武市先生のおそるべき沈黙 超然ととおい雪嶺のように美しい。 武市先生のお話をいたします。彼が作中世界で担う沈黙と語られざる部分の大きさがむしろおそろしいようです。 《維伝》の歴史人物の造型は、司馬遼太郎作品・NHK大河ドラマ《龍馬伝》・まんが『…

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》(2019年12月21日、赤坂ACTシアター、ソワレ)その四 以蔵さんと肥前くんと南海先生とゴシックカルチャー

その参のつづきです。あけましておめでとうございます。ようこそ2020年代。よい時代にいたしましょう。2019年の観劇納めは《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》とダルカラマクベスでした。2020年の観劇始めは《維伝》大千穐楽ライヴビューイングになりそうで…

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》(2019年12月21日、赤坂ACTシアター、ソワレ)その参 紅白鳥太刀とむっちゃんはかわゆい

その弐からのつづきです。 刀剣男士諸君の剣格の話をしましょう。 人々に親しまれる神話伝説の登場人物がそうであるように、基本設定と寓意性がソリッドでキャラクターの余白と行間が広くて深い世界設定と拝察します。着想源へのリスペクトあってこその物語…

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》(2019年12月21日、赤坂ACTシアター、ソワレ)その弐

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》をブラウザゲーム版未修、『刀剣乱舞』シリーズの舞台初見でみた感想と考察です。歴史学の訓練を受けた経験のある宗教学徒としては、もろもろ応答責任のある舞台であるような気がしています。 以下、おぼえがき的に。(そ…

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち 東京凱旋公演》(2019年12月21日、赤坂ACTシアター、ソワレ)その壱

《舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たち》東京凱旋公演を見ました。ブラウザゲーム未修で『刀剣乱舞』シリーズの舞台は初見です。ブラウザゲーム『刀剣乱舞』というハイコンテクストな主題を着想源とする商業演劇シリーズに、パブリック・ヒストリー主題の多重宇…

【告知】イメージ&ジェンダー研究会「子どもの本のいまー感動物語・貧困・家族」

12月1日、上智大学四谷キャンパスで開催されるイメージ&ジェンダー研究会のシンポジウム「子どもの本のいま―感動物語・貧困・家族」にコメンテーターとして登壇します。 社会参加型フェミニズムと文学関連の集いにお呼びくださり光栄です。コメンテーターで…

【急告】市川科研シンポジウム「生きられた古代宗教」のお知らせ(9/21–22(土日)、東京大学本郷キャンパス法文1号館113番教室)

市川科研シンポジウム「Lived Ancient Religion 生きられた古代宗教」のお知らせです。2019年9月21日(土)–9月22日(日)の2日間開催。会場は東京大学本郷キャンパス法文1号館113番教室です。エルフルト大学からイェルク・リュプケ教授(宗教学宗教史学)を…